揺れ動くモノ


なんでも、スポーツテストだそうで・・・

その前に生徒会長の御挨拶があるそうな・・・・・

なんで、スポーツテストなのに会長の挨拶があるのさ?

わかんないヨ・・わからなすぎだよ・・・
青春学園・・・・・


親切なクラスメートとバス亭で別れ直後に言われた言葉に
驚き、歩くのを1瞬忘れたが、
なんとか足を動かしバスに乗り帰宅。

それからは、昨日と変わらない時間を過した。

そして、スズメの声で目を覚まし、
前回と同じ叫び声を上げそうになった。

危ない、危ない
無駄な体力は使わない様にしないと。

ゆっくりとベットから出て、制服に身を包み、
鏡の前身だしなみを整え、ダイニングに入っていけば
準備された朝食に手を合わせ食べた。

嬉しそうに話しかけてくる母親に相槌を入れながら、
時間だから・・
と、話を切り、学校へと向かう。

カバンの中には、サイフに体操服
残りの教科分のノートも入れ学校へと向かう。

スポーツテストて、アレだよね?
体力測定だよね・・

何故横文字にする必要があるのさ?

やること変わらないのに!!

バスの動きによって左右に揺れ、
つり革を持ちながら耐えるものの停車ごとに増える生徒に押され
後ろの方へと移動し、手に持っていた小説をカバンの中に入れ、
人と人の間から見える風景を楽しむ。

バスの揺れに耐えながら、動ける範囲でバランスを取り
ぶつかる事を避け、青春学園前と書かれたバス停で下り
無意識に息を細くしていたのか、溜息と落とし、深呼吸をした。

毎日コレじゃぁ身が持たないかも・・・
少し・・1本か2本早いバスに乗るか・・・

早起きヤダなぁ〜

考え事をしながら、門を潜り下駄箱へ歩いて行けば
昨日、初めて話しクラスメートが挨拶をしてくれた。

さん、おはよう!」

「おはよう」

何度か繰り返す挨拶に、
いつの間にか始まった雑談。

驚いたり、笑ったり、
朝から楽しい気持ちでクラスに入り、朝礼までの時間を過す。

チャイムが鳴り先生が教室に入れば、
授業の始まり。

でも、今日は何時もと違い
体操服着替え、全生徒が体育館へと集まる。

クラスが男女1列に並ぶ中、
ソワソワと落ち着かない雰囲気が全体を包み
首を傾げれば、

「ほら、今日は生徒会長の挨拶があるから」

後ろに立つクラスメートの声は
ワクワクとした雰囲気と嬉しそうに笑う表情に納得し、
視線を舞台と見る。

あそこに手塚氏が立つのか・・・

ココロの中で想像し、

似合いすぎる・・・・

笑い出しそうになる所を堪え

「初めて見るから、楽しみだな」

震えそうになる声を堪え、返事を返せば

「楽しみにしてて。
 絶対、損はさせないから」

意気込む声に、我慢をしていた笑いが漏れそうになるが
頷く事で誤魔化し、始まりを待つ。

誰か知らない先生の始まりの宣言

校長の話し

生徒指導の話し

長々と話を聞かされ、聞く事に飽き始めた時

「生徒会からの連絡」

そんな声に、
ざわめきが大きくなる。

静かに!

怒りの含んだ注意に苦笑をすれば、
背筋を伸ばし、乱れのない歩き方が視界に入り

流石、手塚国光氏
期待は裏切らないお方だ。

自分の知らない所で想像していた人物像と一緒だった事に気付き、
満足げに頷き、報告を聞く。

生声は違うなぁ・・・

ココロの中で悦に入りながら、
話しを聞けば、

体育祭の日にち

競技についての報告だった。

体育祭かぁ・・
懐かしいなぁ・・・

学生だった思い出の中から、体育祭の記憶を引き出し
笑みがもらす。

身体を動かすのは好きだったから張り切ってたなぁ・・・

クラスの子達も団結して、鉢巻や半被なんか作ったり、
応援合戦なんかもしたっけ。

楽しかったな・・・

思い出を終え、現実へと意識を戻せば
浮き出した雰囲気のまま報告が終わり、
手塚が舞台から降りる所だった。

しまった!
半分以上聞き逃しちゃった!!

私のバカぁ〜

もうちょっと、悦に入りたかったのにぃ

自分の愚かさに、ココロの中で涙し、
体育教師の説明を聞き流せば、いつの間にか始まりを告げていた。

とりあえず頑張りますか!

目指せ、平均

小さく意気込み、一緒に回ってくれるというクラスメートと共に
グラウンドに出た。

最初に種目は、持久走

流石に始めから、体力勝負を選らぶ生徒が少ないのか
数十人での開始となった。

男子1500m
女子1000m

開始音と共に走りだしていく。

仲間同士で走っていたのだが、体力で距離に差が出始め、
後ろを振り向けば、手を振られた。

とりあえず、自分のペースでいくか・・

何十人と団体だったのがいつの間にか数人になり、
遅い人だと周回遅れが出る中、
なんとかトップの女子についてゆく。

残り3週を切った所で、スピードを上げられるが、
着いていき、ゴールをする。

乱れた息と足踏みをしながら沈め、
帰ってくるクラスメートに

「お疲れ様」

と、声をかける。

数十分待ち、最後の子が帰って来たのを確認して、
名前・学年・順位を担当の教員に言いタイムを書いて貰い
次へと意識を進める中、

「大丈夫?」

上がった息も整い、体力も少し回復した自分より、
今だ上がった息を整え切れてないクラスメートに聞けば、

「ゴメン、もう少し待って」

顔の前に手を合わせ言われた言葉に頷き、
座りながら周りを見れば、2回目の持久走が行われていた。

あれは・・・

人物に視線を送れば

「乾先輩だね」

お隣さんの言葉に、

本当に目が見えない・・・

冷静な感情で見ていれば、
目が合ったのか、ニヤリと笑みを浮かべられ
背筋にゾクリと悪寒が走った。

アレは・・
まさか目が合っていたと言う事でしょうか!?
メガネの厚さで解らないんですけど!

恐るべし、逆光
恐るべしデータ乾

関わらない様に生きていこう・・・

震えが止まらない体を無理やり動かし、
立ち上がれば

「そろそろ行こうか」

そんな声に頷き、後を付いていく。

50m走にシャトラン

体力勝負をこなし、休憩しながら進めていく。

そして次に進んだのは

ハンドボール投げ

午前中のラストに近づけば、順番待ちの時間が出始め、
その時間をお喋りに費やすが、黄色い悲鳴が上がり
何事かを視線を動かせば、

「海堂くんだぁ」

嬉しさを含んだ音に、眺めれば
気合の篭ったハンドボールが飛ばされ、
体育委員がメジャーを持って走り、大声で結果が告げられれば、
どよめきと歓声が上がった。

こ・・コワオモテデスネ・・・・

初対面の第一感想にココロの中で冷や汗を流す中、

「怖そうなのに、優しい所がいいんだよねぇ」

うっとりと溜め息と共に零れた言葉に、
勢い良く振り向けば、幸せそうに見つめているクラスメートに

「この子、海堂くんのファンなのよ」

笑みを浮かべた表情と声に、

「そうなんだ」

頷き納得をする。

なるほど。
レギュラー皆が人気なのか・・・

ココロの中で納得すれば、

たしかお隣さんは、河村先輩が好きで
そのお友達さんは海堂先輩が好き。

覚えておこう。

何か手助け出来ればいいな。

未来がどうなるか解らないが、
機会があるなら・・・
そんな思いが頭を過ぎった。

必死になりながらも、冷静さを取り戻そうとするクラスメートを眺めていれば
順番が回り、手渡されたボールに意識を集中し

うりゃぁぁあ!

ココロの中で叫べば、

「15、2m」

大きな声での結果発表にどよめきが起こる。

「すっごい!」

さん、頑張って!」

クラスメートの声援を受けるが、ココロの中は嫌な汗が出ていた。

わたしって・・・怪力なの!?

乙女なんて可愛らしいモノじゃないけど、
女としてどうなの?
この数字は!?

自分自身に問いかければ、

ハッ!
気合・・気合を入れすぎたのがマズかったのよ!
そうに違いない。

無理やり納得し、

今度は、もっとソフトな気合で行こう!

握りこぶしを作り、2投目を持つ。

どうしよう・・・
ソフトな気合の掛け声てどんなの?

えい?

イヤイヤ・・そんなの自分が言ったら気持ち悪いし・・・

マズイ・・思い付かない・・

考え事をして、一向に投げないに見かね、

、いい加減投げなさい」

教員の言葉に

「はい・・」

ドウにでもなれ・・・

諦めた気持ちで頷き

うりゃぁぁあ!

ココロの気合の声に、しゃがみ込み自分自身に落ち込めば、

「14.8m」

告げられた言葉に、更にヘコみ、

「アリガトウゴザイマシタ・・・」

力ない声で教員に礼を言い記録用紙を返して貰った。

クラスメートが測定を終わるまで待ち、
全員揃った所で、教室に戻りお昼となった。

「今日も購買?」

お隣さんの問いかけに頷けば、

「いってらっしゃい」

笑顔で手を振られ、走って購買へと行く。

「よぉ」

横から声を掛けられ、聞きなれた声に

「桃城くん」

走る速度落とすが

「急がないと無くなるぞ」

そんな言葉に、頷き、速度を上げ
まだ、人の少ない購買で、クリームパンと焼きそばパンを購入し
屋上へと入って行く。

「こんにちわ」

ねっころがって居る越前に挨拶をし、
邪魔にならないよう、横へ腰を下ろせば、
起き上がった越前に、

「今日もクリームパンすか?」

毎日食べているパンに呆れられ、

「なんだかハマっちゃって・・」

苦笑で返せば

「ふ〜ん」

冷たい返事を返され、
どうしたものかと思案していれば、

、スポーツテストはどうだったんだよ」

パンをほうばる桃城の問いかけに、

「どうなんだろう・・・
 多分・・・認めたくないけど・・・良い方だと思うよ・・・」

遠い目をしながらカラ笑いで答えれば、

「良い方なのに認めたくないのかよ?」

不思議そうに聞き返す桃城と、越前の視線に

「なんて言うのかな・・
 女として失格なんじゃないかと思って・・・・・
 寂しい気分になるというか・・虚しい気分というか・・
 こうなったら女を捨てるべきなんじゃないかと思うのですよ」

背中に影を背負いながら、言い募っていけば、
桃城、越前の引くような態度に、ショックを受けつつ、

「これ以上、虚しくなりたくないから聞かないでくれるかな」

どんよりとした雰囲気のまま、話しの終わりを望めば、
コクコクと頷かれ、

「そう気を落とすなよ。
 良い事は良いんだからな」

差し出された桃のジュースと言葉に、

「そうなんだけどねぇ・・・」

影は取り払う事が出来ずにいれば、

「低いより良いじゃん」

越前の言葉に、

力なく頷き、桃城より手渡されたジュースを飲めば、
甘い味が体中に広がり、ホッと息を付いた。

甘さに癒される・・

もう1口呑み、落ちていた気持ちが元に戻り、
2人の言葉をココロの中で繰り返せば、

励ましてくれたんだ・・

2人の優しさに、感動し、

「桃城くん、越前くん、ありがとう」

笑いながら礼を言えば、

「気にするな」

「別に大した事してないし」

笑いながら返事を返され、嬉しくなり
違う話題を振る。

「そういえばテニス部の乾先輩を見たよ」

最後の1口を飲み込み、出した話題に
桃城と越前は不自然に体を揺らした。

「どうしたの?」

マズイ話題だったのだろうか?

不自然に身体を揺らす2人に首を傾げるが、

「なぁ、

「なぁに?」

桃城の問いかけに首をかしげれば、

「その・・乾先輩と話しをしたのか?」

微妙な間を開け、恐る恐る問いかけてくる問いに

「たぶんなんだっけど、目が合ったのかなぁ・・・
 ニヤリて笑われたけど」

メガネで見えなかったから勘違いかもしれないけどねぇ

笑いながらの言葉に、
目を大きく開け、

「お・・お前・・・」

何か言いかけた桃城の言葉に被せる様に

センパイ!」

越前に大声で呼ばれ、

「どうしたの?越前くん
 急に大きな声を出して」

声の大きさに驚き、越前に問うが

「別に」

そっぽを向き、話を強制的に切った。

なんか、ヘンだ。

2人に視線を送るが、合わせようとせず
ため息を落とせは、2人の体が揺れるが、
気配でを伺うだけで、視線を合わせる事はなく、
今度はココロの中で視線を落とし、
手に持った焼きそばパンを半分に切り

「越前くん」

名を呼ぶが、顔が少し動いただけで視線を合わせなかった。

「手を出してくれますか?」

いきなりの敬語に驚いたのか、視線が合うがすぐさま外され
手が伸ばされた。

「どうぞ」

言葉と共に半分の焼きそばパンを乗せれば、

「どうも」

そっぽ向いたままの礼に無言で返す。

気まずい雰囲気の中、食事を終え、

「そろそろ教室に戻りますね」

1言言い、1人で屋上を後にした。